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スズメバチの冬越し 2022年12月25日

 

(写真①)スズメバチの巣

 

(写真②)木のすき間で冬を越す女王バチ

 

 

林の中で、スズメバチの巣を見つけました(写真①)。バスケットボールよりも大きい、りっぱな巣です。夏の間はしげった葉にかくれて目立ちませんでしたが、今は、木々が葉を落とし、遠くからでもよく見えます。

スズメバチの巣ときくと、近づいたら中からハチが出てきて、刺されないか?と不安になるかもしれません。確かに、夏から秋にかけての時期は注意が必要ですが、冬の間なら心配はいりません。巣の中にハチはいませんし、残った巣が来年また使われることもありません。

では、ハチはどこへ行ったのでしょうか?実は、夏に活動していたスズメバチのほとんどは冬を迎える前に死んでしまって、もういません。今、生き残っているのは、秋に生まれた新しい女王バチだけです。女王バチは枯れた木のすき間などを見つけて入りこみ、そこで寒さをしのいで、たった一匹で冬を越します(写真②)。そして、春をむかえ気温が上がってくると、一匹だけで新しい巣をつくりはじめ、子どもを産んでいくのです。

といっても、すべての女王バチが冬を越せるわけではなく、寒さで死んでしまうものもいます。これから、女王バチにとって厳しい冬が始まります。

 

2022年12月21日(水)掲載 タチモリ

 

ヨモギに化けるイモムシ 2022年9月29日

 

草もちなどの材料にも使うヨモギは、9月の終わりごろに、米つぶぐらいの大きさの花が茎に並んで咲きます。写真は花が咲いたヨモギです。

さて、実はこの写真の中にはイモムシがかくれています。赤丸の中の、茎の上側に体を曲げたイモムシがいるのがわかりますか?

このイモムシは、ハイイロセダカモクメというガの幼虫で、ヨモギの花が咲くころに現れ、ヨモギの花を食べて成長していきます。簡単に見つけることができないのは、敵に見つかりにくいよう、体の色や模様をヨモギの花が咲く様子に似せているからです。実に見事な化けっぷりだと思いませんか?

この幼虫のモノマネのすごさはこれだけではありません。ヨモギの花がまだつぼみのころは、幼虫も体がまだ小さく、体の色や模様はつぼみにそっくりなのです(写真右上)。ヨモギの花が成熟していくのに合わせて体の模様をかえていくという徹底ぶりです。

さて、これだけのモノマネ名人ですから、探しても簡単に見つかるものではありません。見つけたい人は、ヨモギの花が咲くころ、ヨモギの先の方を一本一本確かめながら根気強く探していくのがよいでしょう。

 

2022年9月14日(水) 十勝毎日新聞掲載(タチモリ)

 

クルミハムシ 2022年8月16日

 

クルミの木の葉がボロボロになっているのを見つけました。ボロボロになった葉の上をよく見ると、黒い甲虫と、茶色いイモムシのような虫がいます。これらの虫が大量にいて、葉を食べたようです。また、葉の裏にぶら下がる、黒い干からびた虫のようなものも見えます。

これらは全てクルミハムシという昆虫です。黒い甲虫がクルミハムシの成虫、イモムシのように見えるのが幼虫で、ぶら下がっているのがさなぎです。

クルミハムシは、葉を食べる昆虫であるハムシの仲間です。成虫も幼虫も葉を食べて育ちます。ハムシの仲間は決まった植物しか食べない種類が多く、クルミハムシもクルミの葉しか食べません。

クルミハムシが葉を食べつくすくらいに大量発生するわけは、産卵前のクルミハムシのメスを見るとわかります(写真右上)。お腹が体の何倍もの大きさにふくらむくらいの卵を抱えたメスは、1匹で大量の卵を生みます。大量の卵から幼虫がいっせいに出てくることで、天敵におそわれても一部は生き残れるようにしているのです。しかし葉を食べられるクルミの木にとっては、たまったものじゃないかもしれませんね。

 

 

7月13日(水)十勝毎日新聞掲載(サトウ)