

このような枯れ草の束のようなものが木や壁についているのを見たことはないでしょうか。これはミノムシという虫が作った巣なのです。ミノムシの本体は小さなイモムシのような姿で、この巣の中に隠れて巣ごと移動する変わった生活をしています。
ミノムシはミノガというガの仲間の幼虫です。この幼虫の作る巣が、わらで作ったカッパのような雨具「蓑(みの)」に似ていることからミノムシと呼ばれるようになったようです。
この巣の中でさなぎになってガになりますが、成虫がガの形になるのはオスのミノムシだけ。メスの成虫は羽がなく、足も退化していて、一生を巣の中で過ごします。
そんなミノムシですが、北海道にはいないと言われることもあります。確かに本州にいる代表的なミノムシである「オオミノガ」は北海道にはいません。北海道にいるのは「キタクロミノガ」というミノムシ。オオミノガと比べると小さくて目立たないためそう言われることがあるのでしょう。ですがこれも立派なミノムシ。北海道の厳しい自然の中でたくましく生きぬいています。
2018年6月4日 十勝毎日新聞掲載(サトウ)
あたたかい日もふえ、道ばたに小さな草花が顔を出す季節です。春のおとずれをつげる「つくし」は、土から生える筆(ふで)のように地面からにょきにょきと生えます。つくしを見つけたら、茎(くき)の茶色の節(ふし)を一か所ぬいてもどし、どこがつぎ目か友達と当てて遊んでみましょう。つくしの頭から出る緑色の粉(こな)が手につきますが、すぐにとれるからへっちゃらです。つくしのそばに生える「スギナ」も、茎に節があるので同じ遊びができます。
つくしを地面からとる時、プツンと切れて根はなかなか出てきません。根もとを掘(ほ)ると、つくしの地下の茎はずっと広がって、土のなかでスギナとつながっていることが分かります。つくしとスギナが同じ植物である証拠(しょうこ)です。緑色のスギナは夏にかけて太陽の光をあびて、栄養(えいよう)をつくる役目をします。しかし、スギナは花をもたず、たねをつけません。そこで、春だけつくしを出して、子孫(しそん)を残すための胞子(ほうし)を飛ばします。つくしの緑色の粉の正体は胞子なのです。ぽかぽか陽気(ようき)は外へ出て、春の自然にふれてみてください。
2018年4月30日 十勝毎日新聞掲載(ミヤザキ)
