

オツネントンボ 2022年2月1日
年末の晴れた日に、日ざしがさしこむ窓ぎわから、虫の羽音(はおと)が聞こえてきました。こんな真冬に活動している昆虫がいるのでしょうか?近づいてみてみると、そこにいたのはトンボでした。
これはオツネントンボというトンボです。ほとんどのトンボは、ヤゴと呼ばれる幼虫か卵の状態で越冬(えっとう)するのですが、オツネントンボを含む、わずかな種類のトンボだけは成虫で冬を越します。オツネンの名前は「越年(えつねん)」からきており、その名のとおり成虫で年を越すトンボなのです。
見つけたオツネントンボは、知らないうちに室内に入りこんでいたようです。日ざしであたたまった窓辺でしばらく動きまわっていましたが、やがて日が暮れると別の場所に移動し、その後は何日もほとんど動かなくなりました。
冬の間、寒さが厳しい野外でくらすオツネントンボは、気温が高い日などに動いている姿を見かけることはありますが、多くの時間は、枯木のすき間など寒さや風をしのげる場所でほとんど動かずに過ごしています。
年を越し、新年を迎えましたが、春はまだまだ先です。じっと身をひそめて、厳しい寒さに耐える日々が続きます。
2022年1月19日(水)十勝毎日新聞掲載(タチモリ)
