

カメムシの卵のヒミツ 2021年6月26日
外で虫の卵のようなものを見つけたので、しばらく観察してみました。初めはみどり一色だった卵に、だんだんと目のようなものが見えてきて(写真右上)、観察を始めてから5日後、小さな虫がいっせいに出てきました(写真右下)。
卵から出てきたのはクサギカメムシというカメムシの幼虫です。出てきたばかりの幼虫は1.5mmくらいの大きさですが、成長すると1.5cmほどの大きさの、私たちがよく知るカメムシの姿になります。
カメムシの幼虫が出たあとの卵のカラをよく見てみると、面白いことにどの卵も、まるでフタが開くようにきれいに穴が空いています(写真左下)。カメムシの卵がきれいに開くのは、カラに残ったTの字のように見える部分に秘密があります(写真赤丸)。幼虫は卵から出てくるときに、卵の中にあるT字の部分を頭で押し上げます。T字の部分が卵の内側の割れやすいところに当たり、そこから卵がきれいに開くようになっているのです。
小さな虫の卵の中に、こんなに細かいしかけがあるとはおどろきです。虫メガネなどで身近な自然の中の小さな世界をのぞいてみると、新たな発見があるかもしれませんよ。
2021年6月16日(木) 十勝毎日新聞掲載(サトウ)
