草の上にいるアブラムシの周りにアリがたくさん集まっています。アブラムシがおそわれているのでしょうか?いいえ、実はアリとアブラムシは助け合っているのです。どういうことでしょうか。
植物の汁を吸って生きるアブラムシは、吸った汁の中の余分な糖分を蜜(みつ)としておしりから出します。アリはこのアブラムシが出す蜜を吸うために集まってきます。これだと蜜を吸うアリしか得をしていないように見えますが、そうではありません。アリは蜜をもらう代わりに、アブラムシの天敵となるテントウムシなどの昆虫が近づいてくると攻撃して追い払います。また、アブラムシが汁を吸いやすいように新しい植物まで運んであげることもあります。
このようにちがう種類の生き物同士がお互いに助け合うような関係を共生(きょうせい)といいます。多くの種類がいるアブラムシの中でも2~3割ほどがアリとの共生関係をもっています。アリとの共生は、身を守る手段を持たない弱いアブラムシが生き残っていくための工夫なのかもしれません。
十勝毎日新聞6月掲載(サトウ)