寒空の下で、カシワの枝に残った茶色い枯れ葉が風にカサカサとゆれています。
カシワは、主に海岸線などによく生える木ですが、十勝地方では全国的にもめずらしく海から離れた内陸部にもたくさん生育しています。そのため、十勝では古くから人々のくらしに身近な木として親しまれ、多くの学校の校章などにも使われています。秋にどんぐりをつける木として、同じ仲間のミズナラとともになじみ深い木でもあります。
カシワの特徴の一つは、冬でも葉を落とし切らず、茶色い葉が枝に残ることです。他の木々が、すっかり葉を落とした森や公園で、枯れ葉を枝に残しているカシワの木は遠くからでもよく目立ちます。この様子から、カシワは古くから「葉守の神」が宿る木とされ、枕草子などの古い文学にも登場しました。
残った葉は、冬をこして次の春までそのまま落ちずにいることも多く、新しい葉が芽吹きはじめるころにようやくすべての葉が落ち切ります。このように古い葉と新しい葉が入れかわる様子が、世代をつないでいくようで縁起がよいと考えられました。こどもの日にカシワの葉で包んだ柏餅を食べるのはこのためと言われます。
(十勝毎日新聞掲載2025年1月 タチモリ)
