一年中、緑色の葉をつけている木を常緑樹といいます。北海道の常緑樹というと葉が針のように細いトドマツなどの針葉樹を想像するでしょう。では、葉が広くて大きい広葉樹で、常緑の木は思い浮かぶでしょうか?実は、その数はとても少ないのです。その理由は、冬に大きな葉をつけていると、葉の上に雪が積もったり、冷たい風に水分を奪われてしまうため、葉をつけたまま冬を越すのは難しいからでしょう。
高山などで育ち、庭にも植えられるシャクナゲという木は常緑の広葉樹の一つです。シャクナゲは、夏には水平に広げている小判のような形の葉を、冬には裏側にくるりと丸め、棒のようにして下に向けます。こうすることで、葉の上に雪が積もることなく、水分が抜けるのも防いでいるのです。
面白いのは、寒さの度合いによって、葉の丸まり方が変化することです。氷点下十度を下回るような厳しい寒さの時は鉛筆ほどの細さに丸まって真下を向きますが、0℃前後の時は丸まり方もゆるやかです。
家からシャクナゲの木が見える人は、冬の朝、窓から葉の丸まり具合を観察してみてください。その日の冷え込みがどれぐらいか、だいたいわかりますよ。
十勝毎日新聞2018年2月掲載(タチモリ)