早春の森をひらひらと飛ぶオレンジ色のきれいなチョウを見つけました。でも止まったところを見てみると、オレンジ色の羽は見られるものの、全体は意外と地味な色で、ガのようにも見えます(写真左上)。あとで調べてみると、チョウだと思ったこの虫は「カバシャク」というガの仲間でした。
ところで、チョウとガのちがいとは何でしょうか。なんとなくチョウはきれい、ガは地味というイメージを持っている人が多いと思います。しかし、きれいな色のガ(写真左下)や、地味な色のチョウ(写真右下)もたくさんいます。羽を閉じて止まるのはチョウ、と言われることもありますが、写真右上のようにチョウが羽を広げて止まることもあり、はっきりと分けることはできません。実は生物学では、チョウとガはどちらもチョウ目(もく)になり、区別はされていません。昔の人が見た目や習性のちがいなどで区別した、チョウとガという呼び方が今でも残っているのです。
生物学上は同じ生き物とされていても、やっぱり少しちがう気もするチョウとガ。野外に出て色々なチョウやガを観察すると、ちがいがあるかどうか見えてくるかもしれません。
十勝毎日新聞2021年4月掲載(サトウ)