モミジの枝のサンタクロース

この写真はいったい何でしょう?頭にちょこんとのった赤いとんがり帽子、帽子のふちには白いモフモフの毛、まるで二人のサンタクロースが背中合わせになっているように見えませんか?

この正体はモミジの枝です。秋の紅葉が終わり、すっかり葉を落としたモミジの枝の先をよく見てみると、こんな部分があるのです。実物はとても小さいので虫眼鏡を使うとよいでしょう。

赤いとんがり帽子の部分は、「冬芽」とよばれ、その中には来年の春になるとふくらんで葉や枝になる芽がしまわれています。芽は赤い殻(から)で大切に守られているので冬の寒さでも凍ることなく春をむかえることができます。帽子の下の「顔」にあたる部分は葉が落ちたあとです。モミジの葉は秋に色づいた後に、つけねから取れて落ち、そのあとが枝に残るのです。

顔の部分は今年の葉が落ちたあと、とんがり帽子の部分は来年の葉がしまわれた場所ということですね。

 葉が落ちたあとや冬芽の大きさや形は木の種類によってそれぞれに特徴があり、モミジ以外の木でも、個性的なものがたくさんあります。これらは、葉の落ちた冬が一番観察しやすい季節です。冬の木々の観察、ぜひ楽しんでみてください。

 

十勝毎日新聞2019年12月掲載(タチモリ)