10月に入り、太陽の光が弱まって寒くなってきました。
夏にいきおいよくのびていた草は、寒くなるとすべて枯れてしまうのでしょうか。夏に草がのびていた場所へ行ってみると、地面に平べったく葉がはりついたものが残っています。
この正体は冬ごしする草のすがたで、ロゼットとよばれます。ロゼットとはバラの花を意味します。何枚もの葉が円状に重なる形をバラの花にたとえたものです。
写真はメマツヨイグサのロゼットです。夏には高さ1mをこえる茎をのばして、黄色い花を咲かせていました。
メマツヨイグサは冬ごしのために、茎を枯らして根もとの葉だけを残したロゼットにすがたを変えます。平べったく背を低くすることで、冷たい風で草がきずつかないように身を守ります。
また、寒い季節にも葉を広げることで、太陽の光をむだなく利用して根に栄養をためこみ、他の植物に負けないようにかしこく来年にそなえているのです。
雪がふるとロゼットはみえなくなるので、秋が観察のチャンスです。セイヨウタンポポやナズナにもロゼットはみられるので、冬にむけて変身する草のすがたをさがしに外へ出かけてみましょう。
十勝毎日新聞2019年10月掲載(ミヤザキ)