「マツヨイグサ(待宵草)」は、宵(夜)を待つ草という意味で、その名のとおり「夜に咲く花」です。十勝では夏のあいだ、写真のメマツヨイグサが道ばたなどによくみられます。
夜暗くなるころ、メマツヨイグサのつぼみから目をはなさずじっと観察します。すると、黄色い花びらがゆっくり傘(かさ)を広げるように開く姿を見ることができます。茎(くき)にはつぼみが何個かあり、しんぼう強く観察すれば、次々と花が開く瞬間(しゅんかん)を見ることができます。
夜に花が開く理由は、ガなどの夜に活動する虫に花粉を運んでもらうためと考えられています。夜の虫に花粉を運んでもらうため、花にも工夫がほどこされています。色は明るい黄色で、暗いなかでもよく目立ちます。花からは良いかおりがして、虫をおびき寄せます。さらに、花のまん中にある花粉は、ネバネバでねばり気があり、虫の体にくっつきやすくなっています。
身近に花はたくさんありますが、花が開く瞬間を見たことがある人は少ないはずです。夜に咲くメマツヨイグサは、私たちに植物の知られざる姿を見せてくれます。
※夜の観察は、必ずお家の人と一緒に行きましょう。
十勝毎日新聞2021年8月掲載(ミヤザキ)