春になると、森の木々では、冬の間はかたくとじていた芽がいっせいにふくらみ、芽の中に折りたたまれていた葉が開いてきます。葉が開いていく様子は、木によって違いがあり、それぞれ個性的です。
モミジやカエデの葉は、山折り、谷折りと交互にきれいに折りたたまれていて、扇子(せんす)を広げるように開きます。クルミの葉の開きはじめはにぎっていた手のひらをふわっと広げるようです。ほかにも、まるで打ち上げ花火のように開くもの、くしゅくしゅっと丸めたティッシュペーパーが広がるように開くものもあります。開きはじめの葉の色も、すきとおるような緑色のものや、白っぽい産毛(うぶげ)をつけたものなど、木の種類によって様々です。エゾヤマザクラやカツラのように、開きはじめの葉は、ほんのりと赤いものもあります。
芽がふくらみ始めてから葉が開くまでの変化のスピードはとても早く、芽吹き始めた数日後には葉がすっかり開いていることもあります。この時期にしか見ることができない、木々の個性的な芽吹きの様子をぜひ観察してみてください。
十勝毎日新聞掲載2020年5月掲載(タチモリ)
扇子を広げるように開く(イタヤカエデ)
手のひらを広げるように開く(オニグルミ)
ほんのりと赤くなった葉(カツラ)
打ち上げ花火のように開く(カラマツ)