根を出し冬をこす「ドングリ」

 実りの秋、森や公園の木の下でたくさんのどんぐりを見つけることができます。十勝のどんぐりの木といえばカシワとミズナラの2種類。私がいつも見ている森では、今年、ミズナラのどんぐりがたくさんなりましたが、カシワはあまりなりませんでした。去年はその反対でした。どんぐりは毎年必ずなるというわけではなく、たくさん成る年とそうでない年があるのです。どんぐりにはたくさんの栄養があり、クマやネズミなどにとっては大切な食糧(しょくりょう)です。どんぐりがなるかならないかは森に暮らす生き物にとっても大きな問題です。

 ミズナラやカシワのどんぐりは地面に落ちると、何日かのうちに殻(から)にわれ目が入り、その先から1本の白いひげのようなものが出てきます。これはどんぐりの根っこです。根は先が地面にふれると、そこからさらに土の中へのびていき、長いものだと20㎝ぐらい一気に伸びます。そのまま冬をこし、春になるとその根が土の中の水をすい上げ、最初の葉を開くのです。根を出したどんぐりを探して、場所を覚えておきましょう。よく年の春、木の赤ちゃんの芽生えを見ることができるかもしれません。

 

十勝毎日新聞2016年10月掲載(タチモリ)