野生のブドウ「ヤマブドウ」

秋のくだものの定番、ブドウは食べましたか。最近では、みどり色のブドウ、赤色のブドウ、たねなしブドウなど、栽培(さいばい)されたいろいろな種類のブドウを楽しむことができますね。私たちの身近な自然のなかにも、野生のブドウがあることを知っていますか。ヤマブドウです。
森などの木につるでのびてからまり、高さ20mにもなって生育します。夏には手のひらのように目立つ大きな葉がつきます。秋になる実は、黒っぽいむらさき色で、ひとつぶの大きさが8ミリくらい、ブドウのなかでは小さめです。いろいろな種類のブドウが栽培される前から、ヤマブドウは広い地域で実を食用として利用してきました。すっぱさのある甘(あま)い実は、ジャムやジュースにするとクセになるおいしさです。
夏にヤマブドウのつるや葉を見つけて、「秋に実が食べられる!」と思ったあなたは早とちり!ヤマブドウには、オスの木とメスの木があり、両方とも見た目はそっくりです。お楽しみの実はメスの木にしかならないので、実がなるかどうかは秋までじっくり観察してください。自然のなかでおいしい物にたどりつくには、見きわめる力が必要なのです。

十勝毎日新聞2021年11月掲載(ミヤザキ)