野菜の改良に役立つシロイヌナズナ

シロイヌナズナを知っていますか。春から初夏にかけ、道端でごく普通にみられ、約4ミリの白い小さな花を咲かせる植物です。

全体的にか弱い印象のシロイヌナズナは、はっきり言って、地味で目立たない見過ごされがちな植物です。そんなシロイヌナズナは、じつは私たちが生きる上で欠かせない、大きな役目を果たしています。

野菜の改良などをする時、まず実験しやすい便利な植物を使って研究がおこなわれます。実験しやすい植物の条件として、遺伝子(いでんし)の特徴が分かっていることが求められます。遺伝子とは、「生き物のからだをつくる設計図」のことで、からだの細胞(さいぼう)を調べることで分かります。シロイヌナズナは、数ある植物の中で最もくわしく遺伝子の特徴が調べられています。この遺伝子の情報から、植物が病気にかかりにくいしくみなどを見つけることができるため、野菜の改良などに日々役立てられています。

シロイヌナズナだけでなく、人間は知らないところで植物をはじめとする多くの生き物に支えられて生きています。自然の中でたくさんの生き物と出会い、それぞれの生き物の大切さを知っていって下さい。

 

十勝毎日新聞2023年4月掲載(ミヤザキ)

 

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