雪の下のトンネル エゾヤチネズミ

雪の中に空いたいくつもの穴と、その周りに点々と続く小さな足跡を見つけました。どうやら小さな動物がここを出入りしているようです。しかし用心深いのか、人がいると出てきません。そこで無人カメラを設置して姿を撮影できないか試してみました。

 すると、小さなネズミが穴と穴の間を走り回る様子が映っていました。エゾヤチネズミです。草食のネズミで、春から秋の間は落ち葉の下などにトンネルを作り、草や種子などを食べて生活しています。

 エゾヤチネズミは冬眠しないため、冬も雪の下にトンネルを作って生活しています。ほとんど草の生えていない冬は何を食べているのでしょう。その答えは写真右側に。外に置いてあった木にかじられたような跡とフンがあります。ここにもカメラを設置してみると、エゾヤチネズミが木をかじる様子が映っていました。冬はこのように主に木の皮を食べているようです。

 生きている木もかじるエゾヤチネズミは、林業などの木を育てる人からは嫌わることもありますが、彼らも必死に厳しい冬を生きぬいています。雪に空いた小さな穴を見かけたら、そっと見守ってあげてください。

 

十勝毎日新聞2025年1月掲載(サトウ)