人には人気、鳥には不人気「ナナカマド」

木々が葉を落として風景がさびしくなる中、ナナカマドという木が赤い実をつけて目立っています。あざやかな実は冬まで残り、並木としても人気があります。

目立つ実をつける植物には、鳥などに実を食べてもらって、中に入っているタネを遠くまで運ばせるという作戦があります。そのために目立つ色と、鳥へのごほうびとなる甘い果肉がついた実をつけます。例えば、サクランボやブドウなどはその仲間です。

ですが、ナナカマドの実を秋に味わってみるとかたくて苦く、甘みはありません。鳥にとってもおいしくないようで、ほかの木々の実がどんどん食べられてなくなっていっても、最後まで残っています。鳥にはどうやら不人気のようです。

ナナカマドの実は、寒さにさらされると、そのうちにだんだんと苦みがぬけ、真冬を迎えるころには、秋に比べるといくらか食べやすくなります。そのころには、ほかの植物の実はほとんどなくなっていることもあり、ようやくナナカマドにもたくさんの鳥がやってきます。

最後には食べられるからよいということなのか?それとも、わざとまずくしている理由があるのか?美しい色と苦みにかくされたなぞです。

 

十勝毎日新聞2017年11月掲載(タチモリ)

 

【赤く色づいたナナカマドの実】