クスサンの作る「スカシダワラ」

大きなガを見つけました。北海道では最も大型になるガの一つ、クスサンです。開いた羽の大きさは、大きいものでは10cm以上になることも。体が大きいせいで飛ぶのはあまり上手くないのか簡単に捕まえられました。観察していると下の羽にある目玉のようなもようを見せていかくしてきました。これは鳥などにおそわれたとき、おどろかせて食べられないようにするための行動と言われています。

クスサンの幼虫は7月頃にまゆを作ってさなぎになり、9月頃にまゆから出て羽化します。このまゆは、あみ目のように穴だらけの不思議な形をしていて、その形からスカシダワラ(透かし俵)とも言われます。幼虫がまゆを作るために出す糸はとても丈夫で、昔はこの糸から釣り糸(テグス)を作っていたそうです。

そんな丈夫な糸で作られるまゆは、成虫が羽化した後も木の枝に付いたまま残っているのがよく見られます。これから冬になって木の葉が落ちると、まゆも見つけやすくなるので探してみてはどうでしょうか。

 

十勝毎日新聞2017年10月掲載