かたいクルミも「カリッ」エゾリス

森を歩いていると、木々の間から「カリカリ、カリッ」と聞きなれない音がしました。音のする方を探すと、エゾリスが枝の上でクルミの殻をかじっています。クルミの実は栄養満点で、エゾリスの大好物です。

クルミの実は殻がとてもかたく、割るのは大変です。エゾリスは殻の合わせ目にそって、前歯で削って割れ目を入れていき、二つに割ります。観察していると、ひとつの殻を割るのに5分ほどかかっていました。無事に割れると、二つの殻を落とさないようお椀のように重ね、器用に中身を食べていました。

エゾリスは実ったクルミの実を全部その場で食べてしまうわけではありません。食べない分は、地面に埋めたり、枝の間に挟んでおいて、冬の食糧にするのです。地面に埋めるときは土や落ち葉で上手に隠します。埋める場面をこっそり見ていて、後でその場所を探してみたことがありますが、なかなかわかりませんでした。でも、エゾリスにはわかるらしく、積もった雪の上からでも、埋められた実を掘り当てています。

もうすぐクルミの実が熟してくるころです。エゾリスがクルミを割ったり、埋めたりする場面に出会えるかもしれませんよ。

 

十勝毎日新聞2017年8月掲載(タチモリ)