秋から冬にかけて、草やフェンスに巻きついたつるに小舟のようなものがついているのを見かけることがあります。これは「ガガイモ」という植物の実の殻です。ガガイモはほかのものに巻きついて育つ、つる性の植物で、畑や空き地など身近な場所でもよく見られます。
ガガイモは、夏に野菜のオクラをひとまわり大きくしたような実をつけます。秋になると実は乾いて割れ、やがて中から長いふわふわの毛をつけたタネが出てきます。タネが風で飛ばされてなくなった後も、小舟のような形の殻は残るので、秋にほかの植物が枯れてなくなると目立つようになるのです。
さて、ガガイモは今から1300年ほど前に書かれた日本で最も古い書物に登場する植物でもあります。それによると、小人のような神様がガガイモの舟に乗って海から現れたのだとか。本当に神様がガガイモの舟に乗っていたかはさておき、その当時も、ガガイモは、お話に登場するほど身近で、当時の人々にとっても小舟のような形が印象的だったことが想像できます。そのころと今とでは、人々の生活は大きく変わっていますが、ガガイモはずっと変わることなく人々の暮らしの近くにあったのですね。
十勝毎日新聞2020年11月掲載(タチモリ)