初夏を告げる大合唱「エゾハルゼミ」

木々が芽吹き、美しい新緑の季節、森からは「ミヨーイン、ミヨーイン」と特徴的な音色が響いてくるようになりました。エゾハルゼミの鳴き声です。エゾハルゼミは5月半ばから6月ごろにかけて現れ、十勝地方では一番はじめに出てくるセミです。

「ミヨーイン」はエゾハルゼミの鳴き声の前半部分で、その後は「ケケケケケ・・・」というけたたましい鳴き方に変わります。一匹が鳴き出すとほかのセミもつられて鳴き始めるようで、やがて、あたりはセミの大合唱になります。また、日ざしや気温で鳴き声が活発になる性質もあるようで、太陽が雲から出てきて日がさすと、急に大合唱が始まることもあります。

セミで鳴き声を出すのはオスだけで、メスは鳴きません。オスは、おなかについている「腹弁」を上手に使って複雑な音程を出します。セミを捕まえたら、おなかを見てみましょう。大きな腹弁があるのがオスです。

朝早く、木の幹や葉の裏をよく探してみると、羽化する途中のエゾハルゼミを見つけることができるかもしれません。エゾハルゼミの合唱が森に響くようになると、季節はもう初夏、本格的な夏はもうすぐです。

 

十勝毎日新聞2016年5月掲載(タチモリ)