春を告げる花「フクジュソウ」

 春、雪どけを待ちわびたように真っ先に花を咲かせるのがこの「フクジュソウ」。4月はじめのまだ雪の残る時期から花をつけます。フクジュソウは漢字にすると「福寿草」。昔から新春を祝うおめでたい花として親しまれてきました。

 晴れた日にフクジュソウの花を見ると、日光をうけてキラキラかがやいて見えます。よく見るとその花の中に小さなハエなどの虫が集まっているのを見つけました。フクジュソウの花は他の花のようにミツや香りは出しません。どうして虫が集まるのでしょう?

その秘密はこの花の形にあります。キラキラ光る花びらは太陽の光を花の中心に集める形になっています。フクジュソウの花が咲くのはまだ寒い4月。日光を集めて花の中をあたためることで虫を集め、花粉を運んでもらっているのです。

虫の助けを借りて実をつけたフクジュソウはその後大きく伸びて葉を広げますが、夏までには花も葉も全て枯れてしまいます。でも死んでしまったわけではありません。根に栄養をたくわえたフクジュソウは地面の中で次の春をじっと待ち、また花を咲かせることでしょう。

 

十勝毎日新聞2017年4月掲載(サトウ)